はじめに

和歌山県には土石流やがけ崩れ等のおそれのある土砂災害危険箇所が約18500箇所あり、過去幾度となく大きな土砂災害に見舞われています。このような土砂災害による被害の軽減のため和歌山県と和歌山地方気象台が連携し、大雨によって土砂災害発生のおそれが高くなったときに、市町村長が避難勧告等を出す際の判断や県民の自主避難の目安となるよう、平成19年4月1日から共同で新たな防災情報である土砂災害警戒情報を発表することにしました。



土砂災害警戒情報について

土砂災害警戒情報は和歌山県を1km四方に区切ったそれぞれの領域において、あらかじめ設定した土砂災害警戒避難基準線(CL:Critical Line)をスネークラインが達するか達しないかによって、災害が発生する可能性の大きさを判定するもので、危険度が高まった市町村を特定します。この情報は市町村長が避難勧告等の災害応急対応を適時適切におこなえ、住民の自主避難の判断等に利用できることを目的とし、和歌山県砂防課と和歌山地方気象台が共同して発表します。
なお、土砂災害警戒情報は土石流集中して発生するがけ崩れを対象としており、予測が困難な地すべりや単独で発生するがけ崩れ等は対象としていません。

     砂防って何? (土石流、地すべり、がけ崩れ等の用語解説のページ)



(1) 土砂災害警戒避難基準の設定方法について

 降雨状況を1時間雨量(Y軸)と土壌雨量指数(X軸)の2つの指標の組み合わせで把握することにし、過去に土砂災害が発生した降雨状況から、土砂災害の起きる危険度が高い領域と土砂災害が起きる恐れが低い領域との境界として土砂災害警戒避難基準線を設定しました。設定については、「国土交通省河川局砂防部と気象庁予報部の連携による土砂災害警戒避難基準雨量の設定手法(案)」(平成17年6月 国土交通省河川局砂防部 気象庁予報部 国土交通省国土技術政策総合研究所)において提案されている手法を適用しました。下図におおまかな手順を示します。


(2) 土壌雨量指数について

 土壌雨量指数とは、降った雨が土壌中にどの程度貯まっているかを把握するための数値です。土壌中に水分を貯える3つのタンクを想定し、つぎつぎと水分が浸透すると仮定した数値計算モデルで、気象庁の解析雨量から全国を1km四方領域ごとに算出します。

(3)スネークラインについて

 1時間雨量と土壌雨量指数をもとに、時々刻々変化する雨の状態をつないでできる曲線のことで、その変化の様子が蛇の形に似ていることから「スネークライン」や「スネーク曲線」と呼ばれます。スネークラインが土砂災害警戒避難基準線に達した場合に、土砂災害が発生する危険度が高いと判断されます。



 土砂災害警戒避難判定図を利用し、和歌山県と和歌山地方気象台が連携して現在から3時間先までの危険度の判断を行います。土砂災害警戒避難判定図でスネークラインの先端が土砂災害警戒避難基準線に達すれば「土砂災害がいつ発生してもおかしくない状態」にあると判断できますが、土砂災害警戒避難基準線に接近した状況でも「土砂災害がいつ発生してもおかしくない状態」にあるといえます。